茨城県北茨城市に位置する花園山(はなぞのさん)は、標高798mの山です。阿武隈高地の南部にあたる多賀山地に属し、なだらかな隆起準平原の地形が特徴的です。山の名前の由来は、一帯がアズマシャクナゲの群生地で、花園のようになることから付けられたそう。麓には坂上田村麻呂が創設したとされる花園神社があり、花園渓谷・花園湿原などの景勝地とともに花園花貫県立自然公園の中心をなしています。山中には茨城県指定の天然記念物や、県指定の名勝があり、「花園山と浄蓮寺」として茨城百景にも選ばれています(参考:山と溪谷オンライン)。
トレッキング概要
山名・ルート:花園山(茨城県・北茨城市)
日付:2026年5月5日(日曜日)
天気:晴れ
所用時間:4時間34分
距離:6.6km
周辺状況:花園神社・花園渓谷・亀谷地湿原
駐車場:有・無料(市営花園神社第二駐車場)
トレッキングの軌跡
アクセスと登山口
今回はレンタカーでアクセスし、花園神社近くの市営花園神社第二駐車場に車を停めて花園山トレッキングを開始しました。駐車場から登山口となる花園神社までは徒歩すぐです。境内でお参りを済ませた後、神社を出て右に曲がり、道なりに進んだ先にある市営花園神社第一駐車場を抜けるかたちでルートが始まります。駐車場は無料で、5月の連休中でもスムーズに停められました。
登山口となる花園神社付近へ車でアクセスする場合は、常磐自動車道「北茨城IC」から約25分です。登山口まで直接行ける路線バスは現状ないため、公共交通機関では気軽に登山口まで行ける山ではなさそうです。公共交通機関を利用する場合は、JR常磐線「磯原駅」を起点にタクシー利用が基本になりそうです。
トレッキング
ゴールデンウィーク中にも
やっぱりトレッキングに行きたいと思い、
今回は花園山へ向かいました。
意気込みとは裏腹に、
今回もいつものように朝はのんびり過ごしてしまい、
レンタカーで市営花園神社第二駐車場に到着したのは、お昼前。
駐車場には問題なく車を停めることができました。
警備員の方が駐車場で誘導をしている様子を見て、
ハチコ花園神社はいつも賑わっているのかな?
と心の中で思いつつ、いざ出発です。


トレッキングを始める前に、まずはお手洗いへ。
駐車場の道路を挟んだ向かい側に公衆トイレがあります。
清掃が行き届いていて、アンモニア臭もなく、
とても清潔に管理されていました。
気持ちよく身支度を整えたら、いよいよ花園神社へ向かいます。




駐車場から5分ほど歩くと、花園神社に到着します。
境内には一般の参拝客だけでなく、
神職の正装をされた方やスーツ姿の方も多く、
いつも以上に賑わっている様子でした。
「駐車場に車が多かったのは、このためだったのかな」と思いながら、
まずは山へ入る前のご挨拶も兼ねて参拝。
境内では、ひときわ存在感を放つ大きな「こぶ杉」にも立ち寄りました。
このこぶ杉には、子宝・安産・夫婦円満・心願成就などの
ご利益があるそうです(参考:花園神社・境内の御案内)。
神社にお参りすると、不思議と心が落ち着き、
身が引き締まるような気持ちになります。
こうして地域の歴史や文化に触れられるのも、
トレッキングならではの楽しみですね。




花園神社を後にして、いよいよ登山口へ向かいます。



おそらく、境内から登山道に繋がっているのかな?
と思ったのですが、入口が見つからず……。
境内の方に花園山の登山口を尋ねると、
「一度道路へ戻り、右方向へ進んでください」と親切に教えていただきました。
事前にきちんと調べてこなかった自分の準備不足を反省しつつ、
お礼を伝えて登山口のある市営花園神社第一駐車場へ向かいます。
途中、真っ赤な葉を広げる木がとても綺麗でした。


市営花園神社第一駐車場に到着。
駐車場の奥へ進むと、「奥の院峰・七ツ滝トレイルマップ」を見つけました。
しかし、肝心の「花園山」の名前が見当たらず、
一瞬「登山口を間違えたかな?」と少し焦ることに……💦
その直後、「常陸国ロングトレイル」の案内標識を発見し、
ようやく一安心。
標識には花園山まで2.3kmと書かれていました。
いよいよ、ここからトレッキングスタートです。




登山口からしばらくは、塗装された道が続きます。
途中には「十二神将」の立札、
その奥側には祠のようなものがありました。
時間があまりなかったので、
立ち寄らずに先に進むことに。
道中、見上げると雲ひとつない青空が広がっていて、
気持ちよく、自然と足取りも軽くなります。




歩みを進めると、
開けていた景色は次第に木々に包まれ、
本格的に山の中へ入っていきます。
ふと左手を見ると、木製の看板を発見。
何が書かれているのか気になって近づいてみると、
「緑花に愛を!」
という、北茨城市からのなんとも熱いメッセージが。



(はい!)
と心の中で返事をしながら、
その先の分岐を右へ曲がり、
さらに山の中へ進んでいきます。




舗装された道から山道へ足を踏み入れると、景色は一変します。
背の高い杉の木々が空へ向かって伸び、
その隙間から差し込む木漏れ日が地面を照らします。
渓流沿いならではの、ほどよい湿気を含んだひんやりとした空気に包まれ、
水のせせらぎと風に揺れる木々の音が静かに響きます。
そんな景色や空気、音がひとつになり、
なんとも言えない幻想的な雰囲気をつくり出していました。




足元を流れる渓流に沿って、山道を登っていきます。
渓流といっても流れは穏やかで、小川のような雰囲気。
透き通った水が岩の間を静かに流れ、
その美しさに思わず見入ってしまいます。
道中では何度か渓流を渡りながら、
右岸へ、左岸へと行き来しつつ、
少しずつ登っていきました。




傾斜も比較的緩やかなので、
膝に不安のある私でも無理なく登ることができました。
(もちろん、ゆっくり登っていますが…)。
舗装された道を歩いている間は、
直射日光も浴びるので汗ばむ場面もありましたが、
この行程では、木々の木陰と清流のおかげで空気はひんやり。
とても快適です。




5月のトレッキングということもあり、
蒸し暑さを感じるほどではありませんでしたが、
森の中はほどよい湿気があって、
地面や木々もしっとりと潤っていました。
そんな中、倒木を覆う苔の上に、
もやしをさらに細くしたような小さな芽を発見。
これ、なんて言うんでしょう?
この不思議なもやしっ子に思わず見入ってしまい、
気づけばパシャパシャと写真をこれでもかと撮っていました。
何枚も撮り直して四苦八苦した後は、
苔の生えていない倒木に腰を下ろして、しばしの休憩。




しばらく歩を進めると、
杉の木も若干スリムになって、
その密度もなんとなく増しているように見えました。
中には枯死してしまった杉もあり、
生命の循環、とかナントカ考えだします。
なぜこの1本だけ枯れているのか、
幹に穴を開けている虫のせい?
キノコみたいなのも生えているけど、
これはいつからなんだろう?
ナントカカントカ。
トレッキング中のこうしたランダムに発生する
思考のグルグルも楽しいです。




今回もピンクテープを頼りに、
道を間違えることなく順調に登ってきました。
着けてくださった方々、ありがとうございます。
そんな中、ここで初めてピンクではなく黄色のテープを発見。
近づいてみると、「常陸国ロングトレイル」の目印でした。
実は今回、花園山へ登ろうと思ったきっかけは、
この常陸国ロングトレイルのWebサイトで見た、
花園山と花園神社を紹介するショート動画。
その映像がとても印象的で、「いいなー」と思ったのがきっかけでした。
なので、この黄色いテープを見つけた瞬間、



おー、かの常陸国ロングトレイルだ。
と、ちょっと感動してしまいました。




その先では、常陸国ロングトレイルの案内標識も発見。
スタート地点では2.6kmとあったので、そこから進んだ距離は600m。



えっ、まだ600mしか歩いていないのか…。
と、思っていた以上にゆっくりのペースだったことに少し焦ります。
とはいえ、周囲を見上げると木々の向こうに見える空はだいぶ開けてきました。
距離はあるけど高さ的に頂上が近づいてきたのかな、
と期待しながら再び歩みを進めます。




山頂を目指してリズムを意識しながら小幅で歩いていると、
何かの動物の落とし物を発見。
まだ、乾ききっていない感じなので近くにいるのかも、
と少しドキドキ。
シカだと、小さなボール見たいな形だっけ?
イノシシにしては小さいのかな?
などと、この落とし物の主が何モノであるかも
分からない知識範囲で、あれこれと想像を楽しみます。
他にもないかなと持って
目線をおとしながら進んでいると
栗も発見。


この辺りまで来ると、登山道は比較的平坦になります。
三角点を過ぎた頃からは、
周囲の木々の様子も少しずつ変わってきました(樹種まではわかりませんでしたが……)。
さらに、木々の間から見える空も広がり、
見上げる角度もだいぶ低くなってきます。
足元にはまだ枯葉がたくさん残っていました。
ここだけみると秋口っぽい雰囲気も感じますね。








そして、ようやく花園山の頂上に到着です!



ヤッター
事前に調べていたとおり、
花園山の山頂は木々に囲まれているため、
眼下や遠くまで見渡せるような眺望はありません。
それでも、山頂にたどり着いた瞬間の達成感は、
何度味わっても格別です。
今回は低山ということもあり、
近くにあった木製のテーブル代わりの台に腰を下ろしてひと休み。
持参したシリアルと栄養ゼリーで、ささやかな山ごはんです。
疲れた体には、普段何気なく食べているものでも驚くほどおいしく感じられます。
シリアルも、いつもより二、三倍はよく噛みながらゆっくり味わって完食。
「ごちそうさま」と手を合わせて、再出発です。




今になって思い返すと、
ここまでが順調なトレッキングでした……💦
山頂でひと休みした後は、来た道を少し戻り、三叉路に到着。
登山に詳しい方がいたらぜひ教えていただきたいのですが、
私は下の写真のように、右のルートを進みました。
地面には一応登山道らしき踏み跡があるものの、
ここまで歩いてきた道よりも草木が生い茂り、
人があまり通っていないような雰囲気。



本当にこの道で合っているのかな?
そんな小さな不安を抱えながら、一歩ずつ先へ進んでいきます。




しばらく進むと、ピンクテープを発見。
この道は獣道ではなく、ちゃんとした登山道なんだ、
そう思えたことで、ひとまず胸をなで下ろしました。
ところが、その頼みの綱であるピンクテープも、
次第に見つけにくくなってきます 💦
歩を進めるにつれて、先ほど薄らいだはずの不安が
少しずつ大きくなっていきます。
特に分岐に差しかかったとき、
案内板やピンクテープが見当たらないと、一気に心細くなります。



こっちかな……?
と慎重に進むことを何度か繰り返しました。




老眼も始まり、ここ最近ますます視力の衰えを感じる中、
一生懸命にピンクテープを探します。
古いテープは色あせて周囲の景色に溶け込んでしまい、
なかなか見つけられません。
トレッキングを始めたのがお昼頃と遅かったこともあり、
あまり立ち止まってばかりいると日が傾いてしまうという、
時間的な焦りも感じ始めます。
そんな中、ふと足元に目を落とすと、
切れたピンクテープが落ちていました。
トレッキング初心者の私にとって、
この光景には本当にドキッとしました。
もしかすると、自分はいくつかのピンクテープを
見落としながら歩いてきたのではないか……。
そんな不安が頭をよぎったからです。
地面に落ちた、役目を終えたピンクテープを見つめながら、
その存在のありがたさを改めて実感しました。




ピンクテープ、ピンクテープ、ピンクテープ、
ピンクテープ、ピンクテープ、ピンクテープ、
ピンクテープ、ピンクテープ、ピンクテープ、
いくら探しても見当たりません。
この時、本当に怖さを感じました。
もしかしたら、このまま登山道に戻れず、
日が暮れてしまうかもしれない、と。




Google Mapsを開いてみても、
現在地付近の登山道までは表示されず、
現在地の確認くらいしかできません(それもすごい技術ですが)。
そんな中、唯一頼りになったのが、
事前に登山計画を入れていたヤマレコのアプリでした。
下の写真で、濃いピンク色の線が今回実際に私が歩いたルートです。
一方、オレンジ色の点線は、おそらく過去に
ヤマレコユーザーの方が記録してくださった登山ルート。
とうとうピンクテープを見つけられなくなってしまった私は、
このオレンジ色の点線と、自分の現在地を重ね合わせながら
慎重に進むことにしました。


そして、とうとう元来た登山道に合流、
あの、陸国ロングトレイルのテープが目に入りました。
ホッ………!
あんなに深い安堵のため息を吐いたのは、
記憶にないくらい昔のこと、
初めてだったと感じるくらい本当に安心しました。
オレンジのドット線を記録してくださった
ヤマレコユーザーの方、
常陸国ロングトレイルのテープを巻いてくださった方々、
本当にありがとうございました!




すっかり調子を取り戻した私の足取りは軽くなります。
下山途中に、いつの年代のものかわからないくらい、
とても古いドラえもんをデザインに使用した
三ツ矢サイダーの缶を見つけました。
手に取ると、中からクモが出てきてびっくりしましたが、
見つけた以上、そのままにはできないので
一緒に持ち帰って、帰り道に通った缶のゴミ箱に捨てました。


山道を抜けると、ようやく舗装路に出ました。
日も少し傾いてきたかなという感じもしましたが、
遅くならないうちに、
市営花園神社第一駐車場の
登山口まで戻ってくることができました。
改めて、無事に戻ってこられたことに
ホッと胸をなで下ろしました。




今回の花園山トレッキングは、
これにて無事……?終了です。
北茨城市の看板にもあった、緑と花、
途中では少し冷や汗をかく場面もありましたが、
最後まで歩き切ることができました。
北茨城市の看板にあった「緑花に愛を!」という言葉どおり、
今回もたくさんの緑や花、そして豊かな自然に触れることができました。
木々や苔が織りなす幾何学的な形や、
それらが連なる模様は、本当に不思議で美しく、
何度見ても飽きることがありません。
今回も写真をパシャリ。




登後感




渓流とともに登る山道や、
それらを囲む涼やかな雰囲気は本当に気持ちがよく、
常陸国ロングトレイルのWebサイトの
ショートムービー通りでした。
ですが今回は何より、トレッキングを甘く見た
自分に対する猛省が大きい回でした…。
今後は、時間に余裕を持つこと、
ルートを事前にしっかり確認することを意識します。
また、今回、花園神社に人が多かった理由は、
花園山で例大祭が行われていたからのようでした。
そこで、奉納される芸能が「花園のささら」。
素敵な文化イベントが行われた雰囲気に触れられ、
今回も無事に回を終えられたことに感謝です。
最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。
花園山の魅力が、少しでも伝わっていれば嬉しいです。
