山梨県北杜市白州町に位置する日向山(ひなたやま)は、標高1,660mの山梨百名山です。南アルプスの甲斐駒ヶ岳から鋸岳へ続く尾根から北側に派生した尾根上にあり、初心者や家族連れでも比較的楽しみやすい山として知られています。最大の見どころは、山頂西側に広がる「雁ヶ原(がんがはら)」。花崗岩が風化してできた真っ白な砂地が広がり、森を抜けた先に突然、山の上とは思えない景色が現れます。晴れた日には、八ヶ岳、鞍掛山、甲斐駒ヶ岳などを望む大パノラマも楽しめます。(参考:北杜市観光協会 |ほくとにいくと)
トレッキング概要
山名・ルート:日向山(山梨・南アルプス)
日付:2026年3月22日(日曜日)
天気:曇り時々晴れ間
所用時間:6時間14分
距離:9.2km
周辺状況:尾白川渓谷・甲斐 駒ヶ岳神社
駐車場:有・無料・約100台 (出典:登山口ナビ)
トレッキングの軌跡
アクセスと登山口
私は今回、レンタカーでアクセスしました。前日に山梨県北杜市方面へ移動して市内で一泊してから、翌朝、尾白川渓谷駐車場から日向山トレッキングを開始しました。尾白川渓谷駐車場や矢立石登山口まで直接行ける路線バスは現状ないため、公共交通機関や路線バスでは気軽に登山口まで行ける山ではなさそう。
日向山へ公共交通で向かう場合は、JR中央本線の小淵沢駅・長坂駅・日野春駅を起点になどが起点にタクシー利用が基本になりそうです(参考:やまなしハイキングコース100選)。6月中旬から11月中旬頃までの期間では、JR小淵沢駅と登山口方面を結ぶ予約制のシェア型登山タクシー「MOUNTAIN TAXI」も利用できるようです。
トレッキング
宿泊先のホテルで朝を少しゆっくり過ごし、
9時30分頃にレンタカーで尾白川渓谷駐車場へ到着。
まだ本格的な登山シーズンではなかったためか、
100台以上駐車できる駐車場には余裕があり、
すんなりと駐車できました。
下の写真の右前方には、売店「おじろ」が見えます。

尾白川渓谷駐車場のトレイはとっても綺麗!
おかげで、気持ちよくスッキリとした状態で
トレッキングに向かえました。
売店「おじろ」の近くには、
MOUNTAIN TAXIの集合場所を示す看板もありました。
THE NORTH FACEさんも連携しているようです。
2025年の利用期間は、6月14日から11月16日とのこと。
機会があれば利用してみたいな、と思いつつ、
登山口の方へ向かいます。

登山口へ向かう途中には、周辺案内マップや、
皇太子殿下が甲斐駒ヶ岳に登頂されたことを記念する碑などもあります。
これから登る山やその周辺について少し知っておくと、
トレッキングの体験もより深く楽しめますね。
ということで、ここで少し「ふむふむ」とお勉強。

甲斐駒ヶ岳登山口のモニュメントがあります。
今回の目的地は甲斐駒ヶ岳ではなく日向山ですが、
いよいよここから登山道へ。いざ出発!
歩き始める瞬間に感じる、この気持ちの高ぶり。
何度味わっても、やっぱり好きな感覚です。

登山口までの連絡路のような道を進んでいきます。
ところどころに緑も見えますが、
全体としてはまだ茶色の景色が広がっています。
春本番までは、もう少しといった雰囲気です。

10分ほど歩くと、分岐点に到着。
近くにはキャンプ場もあるようです。
駒ヶ岳神社や尾白川渓谷には登山後に立ち寄る予定なので、
ここでは右手の登山口へ。
いよいよ、本格的に日向山トレッキングのスタートです。

落ち葉に覆われた登山道。
歩くたびに、枯葉と靴が擦れる「シャリシャリ」という音や、
踏みしめる音が耳に心地よく響きます。
なぜか、ポテトチップスを思い浮かべました(笑)。


トレッキング開始後は、このような風景が続きます。
すでに下山されている方々と挨拶を交わしながら、
木々と落ち葉に包まれた静かな登山道を進んでいきます。


少し進んでいくと、
石窯のような構造物がちらほらと目につきます。
人間の心理なのかもしれませんが、
こういう“入口”のあるものを見つけると、
つい中を覗き込んでみたくなりますね。
何かあるのではないかと、
ちょっとしたドキドキと期待を感じます。
poop中には何もなかったけどね
あとで少し調べてみると、
どうやら昔使われていた炭焼窯のようです。
山道の途中に、
こうした人の営みの跡が残っているのも面白いですね。
景色を眺めるだけでなく、
その土地の記憶に少し触れたような気がします。


この炭焼窯に目を取られつつ、
そのまま歩いて行こうとしたところ、
若干迷子になりました(焦)。
下の写真だと少しわかりづらいですが、
炭焼窯の手前を上に向かって進むのが正しい道順です。


登山道は、地面が踏み固められていたり、
整備されていたりして、
目視でも比較的わかりやすいものだと思っていました。
ただ今回は、道のほとんどが枯葉に覆われていたこともあり、
それがかなりわかりづらい……!
道なき山肌を登っているように感じる箇所も、
ところどころありました。
当たり前といえば当たり前なのですが、
木や岩などに示されている目印をしっかり確認すること。
特にこの時期は、それがとても大切だと感じました。



印をつけてくれた方々、感謝




登っていくと一度道路に出るので、
上り方面となる左へ曲がります。
そのまま道路沿いに歩いていくと、
最初の急カーブのあたりに再び登山道へ入る箇所があります。
そこから、もう一度山の中へ。
標識もあるので、迷わず進めて助かります。




少しプチ迷子のような感覚になりながらも、
木に巻かれた赤い印を頼りに登っていくと、
日向山ハイキングコースの入口に到着します。
付近には、別の駐車場もあるようです。



アレ、今までのコースはなんだったんだろう…
そんな考えも少し頭をよぎりましたが、
それはさておき、ここからが日向山トレッキングの本番です。
「10/0(0合目)」の標識を横目に、
気持ちを新たにトレッキング再開です。


ゴツゴツとした岩も多くなってきました。
下の写真の岩とは別ですが、
登山口付近には「矢立石」という名のついた岩もあります。
平面的に広がる景色が続く中で、
馬の背のような登山道にも出会いました。
こうした登山道や景色の変化も、
トレッキングの楽しみの一つですね。




しばらくすると、
地面に白い砂や砂利、小石がちらほらと目立つようになってきました。
植生も少しずつ変化し、見晴らしもよくなってきて、
山頂に近づいている感覚があります。
そしてこの頃には、いつも通り、
私の体力の限界も近づいている感覚……。



もっと、体力つけないと…




そんな中、残雪発見。
思わず、



わぁー
と声が漏れました。
降って積もった雪を見て、
ワイワイとはしゃいでいた子どもの頃の感覚が、
今もちゃんと残っている。
そんなことにどこか嬉しさを感じながら、
歩を進めます。




9合目まで来ました。
あともう少し!
足だけでなく体も重く、汗もたくさんかいていた私。
気力を奮い立たせながら、なんとか登っていきます。
そんな私を横目に、パートナーは軽やかに先へ。
この差はいったい何なのか。
私がオーバーリアクションなだけなのか。
そんな消化不良の気持ちを抑えつつ、
残り1合分、なんとか踏ん張ります。


登山道と三角点の分かれ道に到着。
事前に調べたところ、三角点はあくまで三角点で、
景色はあまり期待しない方がよさそう、
という情報を得ていました。
そこでまずは、登山道側の左へと舵を切ります。



ちょっともう、体力もアレなので
三角点は登頂後、少し体力が回復してから向かおうと。
登山道を進むと、日向山の雨量観測所がそびえ立っていました。
気象データを収集するための大事な施設です。




「もう少し、もう少し」
と自分に言い聞かせながら進んでいくと、
登山道は少しずつ平らになり、
歩きやすくなってきます。
目的地が近づいていることも相まって、
嬉しさがこみ上げ、
鼻歌とも言えないような音が自然と漏れてきます。


そんな心地よさを感じながら、
木々の合間をくぐるように歩を進めると、
いきなり眼前に、壮大に連なる峰々と白い景色が広がりました。



わぁーー
思わず声が漏れます。
足元に広がっているのは、
まるで海辺の浜を思わせるような、
真っ白な砂が広がる「雁ヶ原」です。







ヤッター
体力も息も切れ切れの状態で、
山頂の風にあたり、まだまだ寒さを感じながらも、
初めて見る山頂の白い景色に目を奪われました。
360度のパノラマ。
視界をぐるりと巡らせるたびに、
登ってきてよかったという気持ちがじわじわと湧いてきます。




登山前にコンビニエンスストアで購入しておいたおにぎり。
焼き鮭の具と、米と、海苔。
シンプルなのに、
疲れた体にじんわりとエネルギーが満たされていきます。
登頂後に食べるご飯は、本当においしいです。


日向山の標識。



二枚アル
横たわる木は、砂浜や川辺に打ち上げられた流木のようでした。
そして山頂付近には残雪もあり、
暖かさの中で少しずつ溶け出して、
小さな水の流れを作り出していました。
山の上にいるはずなのに、
どこか海辺や川辺を思わせるような、不思議な景色です。




白い景色と360度のパノラマを十分に堪能し、
雁ヶ原を後にします。
そして、先ほど後回しにしていた三角点へ向かいます。



ハイ


三角点のあとは、
これまで来た道を戻ります。
木々の間を抜けながら、
ありがたい赤い目印を頼りに、
一歩ずつ下山していきます。
最初に登山道へ入った分岐点まで戻ったら、
右へ折れて尾白川渓谷へ向かいます。




甲斐 駒ヶ岳神社の鳥居で一礼し、
厳かな境内を左方向に進んでいくと、
素敵な吊り橋が姿を現します。


吊り橋を渡り切ってから右に曲がり、
そのまま河岸へ降りて上流へ向かいます。
すでに夕刻近く、気温も少しずつ下がっていました。
頬に冷たさを感じながら、
静寂の中に響く水の音を楽しみつつ、
大小さまざまな石や岩で足を挫かないよう、
慎重に進んでいきます。





意外な色だ。
目の前に現れたのは、
渓流の深い淵にある「千ヶ淵」。
エメラルドグリーン、でしょうか。
とても綺麗な緑色をした滝壺に、
思わず惹きつけられました。





あの滝壺、河童とかいそう
そんなことを考えながら歩いているうちに、
出発地点である尾白川渓谷駐車場に到着。
これにて、今回の日向山トレッキングは終了です。
相変わらず、上りではしっかり体力切れ。
でも、その後に山で食べるご飯はやっぱり美味しい。
そして、駒ヶ岳神社や千ヶ淵で感じた、
厳かな空気と静かな落ち着き。
自然に挑むような感覚と、同時に湧き上がる畏怖の念。
こうして「生きている」と感じられる体験は、やっぱり最高です。


トレッキング中、
さまざまな木々の模様に出会いました。
中でも気になったのが、
木の幹に巻かれている黒いメッシュ。
何かを保護するためのものかな、
と思いながら歩いていましたが、
同じようなものをいくつも目にしました。


登後感




日向山は、
初心者や家族連れでも比較的楽しみやすい山。
そんな案内を見て少し油断していたら、
8合目、9合目あたりでは息も絶え絶え。
体力不足を痛感しました。
それでも今回、力強く支えてくれたのが、
日向山へ向かう道中に
トレファクスポーツアウトドアで購入した
KARRIMORのポールと、
富士登山用に購入していたSCARPAの登山靴。
帰路の道中では、富士山に遥拝。
今回も無事に終えられたことに感謝です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
日向山の魅力が、少しでも伝わっていれば嬉しいです。
